『12th day ー 2度あることは、3度ある。』
8:20 AM
寒さで目が覚めた。
時計を見ると、まだ5時である。
周囲に歩いている人がいるのだ。
頭までかぶった寝袋から顔を出すと、
強い風が顔に吹き付け、また寝袋に潜る。
何度か繰り返し、出たり入ったりしているとだんだん慣れてきた。
何人かの人に声をかけられた。
中には、「ジュースでも買って」と小銭をくれる人もいた。
あまりお金を貰うのは、ホームレスみたいで惨めだが、
(野宿するくらいなら、変わらないか笑)
断るわけにもいかない。
あまりグズグズしていると、
今日の目的地、長万部まで辿り着かないので、
寒いが、さっさと準備する。
1時間半かけて道の駅「あぷた」に到着。
8.8kmだからそんなに悪くない。
今日も暑い。風は少しふいている。
遙か向こうの対岸に見えるのが、今日の目的地長万部。
まだ46km。
今日もまだ始まったばかりである。
カボチャが店に並んでいる。
北海道は本当に農業が盛んだ。
ここに来るまでに、
キャベツ、ジャガイモ、イチゴ、コメ、など、
他にも見たような気がするが、
とにかく種類が多い。
そして、キツネに、ウシに、シカなどの動物。
普段、大阪ではまずお目にかかれないものがゴロゴロしている。
北海道のスケールの大きさを感じる。
12時。
ようやく17km地点、今日最後のコンビニである。
ここからは山道が30kmばかり続くと思われる。
本当はあと14km行った地点で昼にしようと思っていたが、
持ちそうにないので、
ここで食べることにする。
天気は良好。
走り続ければ、日暮れには峠を越えられるか…
ついに函館までーkm、の看板が見えた。
看板だけでなく、海を挟んだ遙か向こうの大地も函館を指す方角である。
まだ霞むほど遠い。
緩やかな山道を行く。
もう3時間は歩いたり、走ったりを繰り返した。
まだ峠を越えるまで12kmある。
2時間半と行ったところか。
行っても行っても山、山、山…
イヤホンではミスチルが流れている。
水も少ない。
もう音楽に身を任せ、なにも考えないことにした。
新礼華トンネル。長さ1.3km。
今回最大のトンネルだ。
真っ直ぐなトンネルなのに、出口の光が見えない。
それほど果てしなく遠い。
これまで登りは歩いていた。
いや、登りのように見えたから歩いたのだ。
登りかどうかは定かではない。
そう感じただけだ。
だが、それもこの最大のトンネルのために力を残しておいたのだ。
2度あることは、3度ある。
トンネル内では、とにかく走った。
轟々と車が近くなる度に、激しい音がなる。
ミスチルではとてもかき消せる音ではない。
道幅は幸いにも少し広い。
ひんやりした空気と、
前か後かもわからない車が響かすけたたましい音は、
生きた感じを失くす。
無心で走り続けること、13分間。
やっと終わったトンネルの先には、
足もすくむような高さからの海が見えた。
高所恐怖症ではないが、
万が一、をイメージしてしまい、
崖から少し離れて走った。
午後5時半、ようやく峠を越えた。
日暮れ前にもかかわらず、
山道では冷えてきていたので、
急いで正解であった。
自分が立てた目標を初めてクリア出来たように感じて嬉しい。
そこから宿までは一直線の道だった。
ひたすら長い道を2時間ほど歩き、寒くなってきたころ、
長万部の街に到着。
宿も幸運にも部屋が空いており、宿泊出来た。
今日はかなり疲れた。
今日は北海道の中でも指折りのコースだっただろう。
宿に着いてからも、
食事や風呂など、いつもの倍以上時間がかかった。
それだけ、疲れていたのだと思う。
今日の移動距離:55km
累計:606km
北海道を抜けるまで:あと99km
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