『59th day ー 日々、上を目指す』
8:57 AM
天気もいい。寒くもない。
今日もできるだけ早く出発しようとしたが、9時前。
日暮れまでにどこまでいけるのか?
2時間ほど走っていると、桜島が見えた。いい眺めだ。
久しぶりに景色を楽しんでいる気がする。
最初の峠を軽く超え、海岸線をひた走るが、
あまりにもコンビニが見当たらないので、
Googlemapで調べてみた。
すると、
あと16kmも行かないとコンビニはないという大汗
これは全く予期していなかった。。。∑(゚Д゚)
急いで気持ちを切り替えて走る。
うかうか飲み食いしながら走っていると、手持ちの物資をすべて消費してしまう。
昨日走りながら考えていたのだが、最後にちょっとトライをすることにした。
今日は、最後にして最長の距離を走る。
その距離、70km!
もうウルトラレース並みの距離である。
なぜこのようなトライをするか、
それは、「同じことを毎日していても進歩がないから」だ。
日々、上の目標を決め、トライしないと、人間は成長しない。
50kmを走ることが日常的になっている今、
その上を目指すのであれば、この70kmにチャレンジする価値はある。
無理しているのは、承知の上。
最後なんだから限界まで走ろうじゃないか⁉︎
ということで、今日は70km。
悠長に構えていては失敗に終わる。
長い。。とにかく長い。。。
少しづつ、本当に少しづつ、近づく半島の突端を横目で見ながら、
雲がかかった桜島を右手に、
走り続けた午後1時。
急にぽつぽつと、雨が降り出した。
少し前から雲が広がっていたので、
「ついに降り出したか…」と思ったら違った。
ぽつぽつと音はなるものの、
雨は感じない。
「なんだ?」と思ったら、
火山灰だ‼︎\(◎o◎)/!
桜島のほうに雲が出ていたのは、噴火していたからだ!
最後にこんなサプライズが待っているとは…((((;゚Д゚)))))))
一度降りだした火山灰で、瞬く間に視界が遮られた。
火山灰が目に入って全く前を見ていられない。
体に打ちつける粉塵は雨と全く同じ感覚。
だが、雨よりもたちが悪い。
灰は車が通れば、舞い上がり、ウェアも帽子もすぐに真っ白になった。
運よく、近くに道の駅でしばらく退避して難を逃れたが、
まさか最後にこんな試練が待っているとは、、、
大自然は驚異である。
道の駅を過ぎてからも火山灰の脅威は続いた。
火山灰が止んだ後も、粉塵は砂ぼこりとなって強風とともに体に打ち付ける。
しかもかなり強い風である。
もう前など見ている余裕はない。
自分の足を見るぐらい背中を丸めて、帽子で顔を砂埃から避けて走る。
その区間は2kmほど続き、必死に前へ進んだ。
午後2時過ぎ、
桜島を背にして走るようになってからは、
砂ぼこりも止み、ようやく走りやすい道にでた。
でもまだそこで30km。
そこでまだ半分も終わってない。
しばらく行くと、南鹿児島の地図があった。
自分がいる現在地がわかる。
それと同時に、佐多岬が見える。
もう目の前にそれはある。
長らく追いかけてきたそれはもう目の前にある。
5時半、ようやく鹿野市に入った頃、日が暮れた。
ここまでで50km。
いつもなら、もう終わっているか、もうあと数キロというところだろう。
でも今日はここからあと20kmある。
気温は低くないが、風があるため、体感温度は低い。
なんとしても、残り20kmを今日行かなければならないのだ。
明日のために。
実は、今日70kmを走ることにしたのは、
もうひとつやりたいことがあったからだ。
それは、「最終日は日が沈むまでにゴールすること」だ。
そのためには、今日70km走ることで明日を短くする。
今日多少無理してでも、最後ぐらい有終の美を飾りたい。
この2カ月の最後。すべては、その一瞬のために。。。
「最後なんだから、這いつくばってでも、足をひきづってでも、ゴールに向う。」
それくらいの気概で行こう。あと20kmなんだから。
なにもない真っ暗の中をただただ走った。
気持ちを紛らわすために音楽を聴いていたが、
音楽を覆いかぶさるように風がゴォーゴォーっと、耳をつんざいた。
ふと、イヤホンをとってみると、
風で樹々がものすごい勢いで揺れる音と、
波が強くうねる音で、
周りを囲まれているようだ。
なんとなく振り返るのが怖くて、ただ懸命に走る。
それも1時間半が限度だった。
もう体力は残っていない。当たり前だ。
ここまで60kmも走ったんだから。とっくに限界を超えている。
それにこの坂、いつ終わるのだ?
何度もアップダウンを繰り返し、先が全く見えない。
「もうこの坂を越えれば…」と、
何度も何度も望みをかけては裏切られる。
もう白線だけを追って歩く。
「佐多岬」の文字が見えた。
進むべき道標が、これ以上先のない最終地点が。
この文字をこの2か月どれだけ追い続けてきたことか。。。
暗闇の中、どれくらい歩いただろう。。。
風に、上り坂の繰り返しで、走ることなんてできる状況ではない。
時計をみると、まだ10分しか経っていない。
もう考えることなど、なにもない。
道も確認する必要ない。
ただひたすら足を動かす。
なんでもいいから、叫びたくなり、
聴いていた音楽を叫ぶ。
何を歌ったか覚えていない。
ただ気持ちを紛らわせたかった。
とにかく早く着いてくれ。。。
錦江の道の駅に着いたのは、夜の10時。
コンビニが間近くにあったのが、幸いだった。
寝床を探すと、木のベンチと机があった。
(ここで寝れる。)
と、思いきや、先約がいた。
旅行をしているだろう人のチャリがあった。
が、姿が見えない。
(どこにいるのだ…)
気になるが、もうそんなことかまってられない。
寒い。。。寝たい。。。
しばらく寝袋にくるまって震えていると、
突然、目の前で何かが動いた。
最初、外人かと思った笑
向こうもちょっと驚いているようであった。
「日本語わかりますか?」
かなり失礼であった笑
彼女は、女性チャリダー・大島さん。
姿が見当たらなかったのは、女子トイレで充電してたかららしい。
女性で一人旅のチャリダーとは、スゴイ…しかも野宿って汗
が、自分だってここまで走ってきた自負がある。
僕も、胸張って「北海道から走ってきた」と答えた。
ちなみに、夜中にこのラン、2度目の職質を受けた。
警察官は前回と同じ2人。
前回、同様、いろいろな質問に答えたが、どの答えにも唖然としていた。笑
今日の移動距離:70km
累計:2966km
佐多岬まで42km
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