『15th day ー 親孝行は話を聞くこと』
10:49 AM
今日はフェリーの時刻に合わせないといけないので、出発が遅い。
今日は46km。
ここから30kmは何もないので、勝負の区間である。
ここもきっと夜は寒いので早くゴールしたい。
本州に入った途端にナンプレが変わる。
青森、庄内、岩手、秋田、八戸。
今までほとんど見なかったナンバーばかりだ。
そのうち東京ナンバーも出てくるのだろうか?
綺麗な海岸線が続く。
磯のにおいがする。
コンブをそこらじゅうで干している人がいる。
北海道では感じなかった、
緩やかな淡い塩のにおいのする風だ。
風はあるが、心地よいそよ風といった感じ。
調子がいいので走り続けた。
3時間で22km進んでいた。
今日の約半分を終えたことになる。
直近の1時間だと、8.5kmも進んだ。
しかも無理に足を前に出して走ったのではなく、
自然と足を止めてずに動かし続けただけなので、
呼吸がきつくなったりしていない。
調子の良いとき、いくらでも走れる、
というある種の錯覚に陥っているときの感覚である。
ここでなにか災害が起きても、たぶん僕は走り続けるだろう。
この辺で昼食にしようと思った。
水分補給も兼ねて、自動販売機があるところで休もうと思い、
またしばらく走っていたが、なかなか自動販売機が見つからない。
そのうち歩道が狭くなり、それが終わったと思えば、
峠に入り、止まるわけにもいかず、
結局、峠の頂上まで30分余り、空腹の中、進まなければならなかった。
大畑の町に着いたものの、
昼食を食べたばかりだったこともあり、
走り続けることにした。
この先、峠があることもあったので、
日暮れまでにできるだけ走りたかった。
どうも、東北は北海道より日暮れが早いような気がする。
30分くらいは早いのではないか?
5時過ぎると、もう若干暗くなってきている。
6時過ぎ、無事にむつの街に着き、宿も見つかった。
宿は素泊まりで3,500円。
玄関に入り、
「すいませーん」と3回ほど呼ぶと、
70歳を越えているのではないか、と思われるおばぁさんが出てきた。
最初は、僕が泊まりに来た客だということを理解できないようだった。
「なにも出来ないけどいい?」
とおばぁさんに言われたが、
僕としては雨・風さえ凌げれば十分だ。
一旦、荷物を起き、シャワーを浴びて、食事をした。
帰ってきて宿泊費を払おうと、おばぁさんの部屋を訪れた。
僕は1万円冊で支払おうとしたところ、
おばぁさんはお釣りがないという。
客でさえほとんど来ないそうなので、お金を用意していないそうだ。
結局、僕の手持ちのお金2,000円だけでいい、ということになった。
しばらくおばぁさんと雑談をした。
僕はほとんど聞いているだけで、
おばぁさんが病院のことや御嶽の噴火のこと、原発のこと、孫のことなど、
ほとんどずっと一方的にしゃべり続けた。
言葉の訛りがあって、よくわからない部分もあったが、
「話がしたい」というのが、よく伝わってきた。
北海道もそうだったが、年配の方はとにかく喋りたがる。
寂しいのだろうか。
親孝行は話を聞くだけでもいいのかもしれない。
高低差も加えてみました!
今日の移動距離:46km
累計:752km
東京まで:あと726km
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