夢グレ完走記 2018

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夢グレ完走記 2018

2018年 最終目標 夢グレ320km(11/3〜5)

『もう、やめよう、、、』
不眠不休で250km走った2日目の夜、
スパワールドの湯に浸かり、
目が覚めたときにそう思った。

もうまともに走れる状況は、
とっくの昔に終わっていた。

24時間も立たないうちに、
太ももは走るのを拒否しだし、
淀川の河川敷では、完全にメンタルが折れた。
あまりの眠さに、そのへんで木に寄りかかり、
仮眠して見る夢は、日常生活の出来事だった。

もう、
身体が、心が、
「やめよう」
と言っているのだ。

いつも気持ちだけは前向きに。
そうやってきたけど、
それさえも無力だ。

「やめよう。◯◯だから」



「???」


「、、、、◯◯ってなんだ?」

脚が動かない?
カラダが痛い?
怪我した?
眠い?

どれもピンとこない。

「もうやめよう」
一度はそう思ったはずなのに。
なんでだろう?
何度も寝ては覚めてを繰り返し、
そのたびに、何かと葛藤している自分がいる。

そうこうしているうちに、
周りの同士たちは再スタートの準備を始める。
みんな、まともな状況じゃない。
口には出さないが、顔を見ればわかる。
この状況でまともな人間なんて一人もいないんだ。
自分だけがつらいんじゃない。

ここで本当に終わりなのか?
まだいけるんじゃないか?
どうせやめるなら、
最後まで走り尽くて終わろうじゃないか。

とりあえず全身の擦れてできた傷に、
テーピングをし、荷物をまとめ出す。
夜中の2時半、
まだ真夜中の不気味な新今宮の街を歩く。
最後まで走りきると決めたものの、
まだ心と体は、スパワールドの湯どこに引きづられており、
それを振り払うかのように、
南へ、歩を早めた。
持てるもの全部、
今一瞬、この時にこめて。

☆2018年 最終目標 夢グレ320km ☆

行程
紀見峠〜金剛山(CP1)〜葛城山(CP2)〜
平石峠〜近つ飛鳥博物館(CP3)〜
信貴山(CP4)〜法隆寺(CP5)〜松尾山〜矢田寺〜
薬師寺〜平城京(CP6)〜木津川〜
山崎大橋(CP7)〜宇治朝霧橋(CP8)〜
西笠取(CP9)〜石山寺(CP10)
〜近江大橋〜小関峠(CP11)〜大文字山(CP12)〜
宝ヶ池(CP13)〜嵐山(CP14)〜勝持寺(CP15)〜
淀川御幸橋(CP16)〜枚方大橋(CP17)〜毛馬閘門〜
大阪城(CP18)〜スパワールド(CP19)
〜新木津川大橋〜眼鏡橋〜昭和山〜千歳橋〜
なみはや大橋〜天保山(CP20)〜USJ〜
芦屋公園(CP21)〜六甲山山頂(CP22)
〜摩耶山(CP23)〜新長田

諸々の細かい時間設定を書くほど、
余裕はないので、概略でご勘弁くださいm(_ _)m

■ 紀見峠〜金剛山(CP1)〜葛城山(CP2)〜
平石峠〜近つ飛鳥博物館(CP3)

のっけからトレイルインで直登。
なるべく抑えて走ったけど、
葛城山を過ぎたあたりで、足が攣る。
しかも、両足、汗。
(おいおい、、、
 残り300kmもあるのに、走れんのか、、、(・_・;)?)
ペースは近つ飛鳥博物館まで5時間半と、
目安の時間より1時間も早い!
が、
(むちゃしすぎたのではないか?)と、
一緒に試走していたNさんを追い抜いてしまったこともあって、
かえって不安になる。

■ 近つ飛鳥博物館(CP3)〜信貴山(CP4)
〜法隆寺(CP5)〜松尾山〜矢田寺〜薬師寺〜平城京(CP6)

近つ飛鳥博物館で、ようやくロードになり、本領発揮!
それでもかなり抑えて走ったけど、
肉屋のコロッケを頂きながら、
半・地元のこの辺りでは、気持ちよく走る。

信貴山を超えると、下りで太ももに違和感を感じ始める。
トレイルで無茶しすぎたときのやつで、
着地するたびに軽い痛みが走る。
つまり、脚の終了。もう『まともな状態』ではなくなる。激汗
それでもペースをなるべく落とさず、
平城京まで走りきる。

■ 平城京(CP6)〜木津川〜山崎大橋(CP7)〜
宇治朝霧橋(CP8)〜西笠取(CP9)〜石山寺(CP10)

山崎大橋までは、住宅街と河川敷のなーんにもないエリア。
この辺りから、ペースが同じMさんと併走することになり、
なんとかメンタルを保つ。

宇治朝霧橋から石山寺までは、真夜中の山道。
太ももの違和感は、より明らかになり、
下りで走るのをやめてしまいそうになる。
ここでもMさんに引っ張られた。一人では確実にへばっていた。

■ 石山寺(CP10)〜近江大橋〜小関峠(CP11)〜大文字山(CP12)

最初の目標としていた石山寺に到着。
ここで130km。1/3を超えたくらい。
時刻は3時25分。
関門時間より1時間半の余裕はある。

最初は寡黙な人に思われたMさんと、だんだん話をするようになり、
Mさんが岐阜から来ていて、木曽駒ヶ岳とか、
3,000m級の山々でトレーニングしていたらしい。
そりゃ、上りも下りも強いわけだ。
僕はといえば、案の定、大文字山でピークを迎える。
山頂手前で眠さが限界に来、
そのへんの木に座り込んで、寝ること15分。
もう夢の中では、日常生活の風景が広がり、
気づけば、現実は山の中。
気を取り直して進み、7時半頃山頂到着。
はるか向こうに大阪のビル群が見え、
そこまで今日自分が行くなんて、イメージが全くできなかった。
ましてや、そのはるか先の神戸なんて、、、、、

下山して、途中のコンビニで着替え、
装備を整えていると、なぜだか回復してきて(!)
かなりいいペースで走り、宝ヶ池のCPをクリア。
でも、まだここで全体の半分なのだ。。。

■ 宝ヶ池(CP13)〜嵐山(CP14)〜
勝持寺(CP15)〜淀川御幸橋(CP16)

嵐山までは宝ヶ池までの勢いのまま、順調に進む。
鴨川まで来たときに、帰ってきたと実感する。
「みんなに会いたい。里のやで焼肉食べたい、、、」
途中、また眠くなり、バス停で仮眠し、
人がごった返す嵐山に到着。
ここからは、前回試走したときに迷い、時間がかかったので、
ひとつひとつ目印まで集中して走ることにする。

大文字山で先に行ったMさんとまた合流し、
着実に歩を進め、淀川御幸橋に到着。
まだ日が明るかった。

■ 淀川御幸橋(CP16)〜枚方大橋(CP17)〜毛馬閘門〜
大阪城(CP18)〜スパワールド(CP19)

走っても走っても、進んでいる実感がない。
淀川沿いでは、とにかく集中して走ることにしたが、
それができたのも17km先の枚方大橋まで。
数十メートル走れば、体が勝手に止まり、
歩くことしかできない。Mさんにも先に行ってもらい、
とうとう、精根尽き果てる。
もう空腹感もなく、疲労感もなく(?)、
意識があったのか、なかったのか、、、、
毛馬の閘門まで5kmの文字を見てから、
異常に長く感じた。

毛馬からは見慣れた風景。
だんだん大阪城に近づいてきていることを実感し、
また少し息を吹き返す。
大阪城でまたMさんに出会い、
「地元だから、道は任せてください!」
と、ナビを申し出る。
(今思えば、どこにそんな気力があったというのか、、、)
案の定、喋る気力もなく、Mさんが走ろうとするのに引っ張られて、
ふらふらになりながら、スパワールドに到着。

■ スパワールド(CP19)〜新木津川大橋〜眼鏡橋〜
昭和山〜千歳橋〜なみはや大橋〜天保山(CP20)

冒頭の一幕がありながらも、なんとか前に進む。
天保山までは完全に歩きと決め込み、
信号が変わる間際だったり、
下り坂をトレイルを下るように走る以外は、完璧に歩く。
地元のアドバンテージ、サハラで欧米人を追い抜いた歩きを最大限に活かし、
トップ集団までたどり着く。

天保山についたのは6時13分くらい。
渡船の始発、6時15分に間に合った。
ここで間に合ったのが、のちのち大きかった。

■ 天保山(CP20)〜USJ〜芦屋公園(CP21)

いよいよ最後のエンジンをかける。
と言いつつも、そんなもの、あるのか、ないのか、、、
ここからは制限時間がギリギリの設定。
とにかくおにぎり2個と最後の秘策・レッドブルを流し込み、
必死で走る。先頭集団に離されないように。
必死に食らいつき、それでも離され。

耐えること、3時間。
9時10分、関門20分前に芦屋公園に到着。
なんとか、崩壊寸前の状態だけど、
最大の関門をクリア。
しかし、ここで気をぬくことはできず、
最後のピーク、六甲山頂を目指す。

■ 芦屋公園(CP21)〜六甲山山頂(CP22)〜摩耶山(CP23)

この区間を乗り切れば、最後。
あとは5時までにゴールすればいい。
すでにボロ雑巾のようになった身体に、
さらにムチ打って、
最後の一滴まで絞り出すかのように、
チカラを振り絞る。
Nさんが前を走って、途中まで道しるべになってくれる。
胃の調子が悪く、何度も吐く状況になり、
石山寺でリタイアされたそうだ。
脚がまだ健在であっただけに、本当に残念。
Nさんと一緒にゴールしたかったんだけどなぁ。。。。

11時57分、六甲山頂に到着。
時間的余裕はまったくない。
身体が、気持ちが放つ「休みたいサイン」を
完全に無視して、先へ行く。

14時、摩耶山に到着。
ここからは下るだけ。
エイドの方に「歩いてもゴールできる」
と、言われたが、まだ気が抜けない。
気を抜けば、その歩くことでさえ、
やめてしまいそうになるのだから。

■ 摩耶山(CP23)〜新長田

下りは、一歩一歩が苦痛。
これももう耐えるしかない。
「早く、終われ」
その一心で降りていく。

15時、三ノ宮市街地に出る。
「歩いててもゴールできる」
という言葉どおりに行けば、
このペースでも十分にゴールできるはず。
が、気づく。
「今の自分がおばあちゃんが歩くのと、
 変わらないスピードしか出ていないこと」
これでは、いくらなんでも無理だろうから、
コンビニで最終兵器・レッドブルを買う。
これだけが頼みの綱。
もう走ろう。スピード云々は関係ない。
走っていれば、いずれ終わる。
県庁、大倉山、湊川公園、上沢、そして長田。
だんだん近づいてくるのがわかる。
時間もそんなにないが、このぶんだと、
ゴールできる。

最後の交差点を曲がり、鉄人28号が見えた。
長い長いレースが終わった。
今回は泣かなかった。
頂いた完走祝いのビールも、とくにうまいと感じなかった。
ただ公園のベンチで座っていた。
何も考えられず、何もしたくなかった。
「早く帰ろう。家でDiepが待っている」
大会が用意してくれた銭湯も入らず、
嫁が待っている家へ急いだ。
新長田駅で各駅停車の電車に乗ったまでは覚えているが、
その次に目覚めたときには、大阪駅だった。
あやうく京都まで行くところだった。
まだ気が抜けない。
家に帰るまでが、旅だ。

追伸、
一緒に走った皆様、Nさん、Mさん、
最後までサポートしてくれたスタッフの皆様。
本当にありがとうございました。
自分一人では絶対に走りきれなかったと思います。

そして、嫁のDiepへ。
3日も家を空けてごめんね。
今日のUSJは、その埋め合わせになったかな?
(まだ脚痛いから本当は休みたかったけど、、、)
いつもありがとう。

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